ワンピースに学ぶ「強み(長所)」について知っておきたい7つのこと
強みとは?
前回「強み」について書いたんですけど、読みにくいと思うのであれからさらに考えたことも加えて、今回まとめてます。
多分わかりやすくなるだろうと、僕が中学生のときから読んでるワンピースをたとえに使います。ちょっとしか知らなくても大丈夫です。
そもそも「強みとは何ですか?」って話ですが
かんたんに言うと自分や周りの人が「頼って力にできる点」です。
「このシステムのことで困ったら彼女に聞けば何でも答えてくれる」
「Excelだったら木村さんに頼めばOK」
「手ごわい取引先との交渉は課長がなんとかしてくれる」
組織やチームでは、人と人が依存している=頼みあって活動しているので、ひとりでは解決できないことを他の人に頼みます。
強みは、人がその場で放っている存在感であり、具体的な根拠があると言えます。
その具体的な根拠をどう考えるか、7つにまとめてみました。
1.強みはBe(である)・Can(できる)・Do(する)で考えよう
僕は強みを3つに分けられると思います。
①「Be=~である(性格、特性)」
②「Can=~できる(能力、技術)」
③「Do=~する(行動、習慣)」
それぞれワンピースの主人公ルフィを例に考えてみます。
①ルフィのBe=ゴム人間である
「あいつは打たれ強いやつだから大丈夫」
「彼女は明るい雰囲気の人だよね」
人の性格や特性に注目すると、その人独自の強みを表現できます。
これは、意識せずともいつの間にかそうなっていることがほとんどです。自然な状態、ですね。
性格面は、自分が気づかずにいるものもあるので他人から教えてもらうとよいです。
なお、「男(女)である」とか「若い」「長年やってる」「~出身である」も時と場合によって強みになります。
ルフィの場合、悪魔の実を食べてゴム人間になりました。
ゴムであることの利点は、その性質にあります。
「なぐっても痛くない」「銃弾をはねかえせる」など、ゴムだから強いことがあります。
何よりも「電気をとおさない」はゴムの強みですよね。
ちなみに僕の場合は「よく気が利く」だと思ってます。色々なことに気づく。僕が勝手にそう思ってるだけですよ。
②ルフィのCan=覇王色の覇気が使える
ワンピースをあんまり読んでない人はなんのこっちゃという感じだと思うのですが、Canは自分の才能や素質を磨いて身に付けた能力や技術だとお考えください。
ルフィの場合、覇気を使って敵を倒すこともそうですが、ゴムの利点を生かして相手を倒せる、というのも立派な強みです。何よりルフィは、相手のボスにひるまずに挑んで倒せます。すごいことです。他の人にはとてもできないんです。
「人前でうまく話せる」
「コードが書ける」
「計算が速くできる」
「資料を速くつくれる」
「アラビア語が話せる」
最初はできなかったけども、能力や技術を磨いてできるようになったこと、これもひとつの強みです。
スキル系の他にも、専門知識を持っていたり、資格によってできることがあったりすると、これも強みになりますよね。もちろん持ってるだけじゃダメで、何か実績が必要ですけど。
それから、自分のことだけではなくて他人に向けられる強みもあります。
「他人の才能に気づける」
「長所を見つけることができる」
「人をつなぐことができる」
「組織を引っ張れる」
「人にうまく教えられる」
というのも立派な強みですね。
学生の就職活動の場合、スキル系の強みを身に付けるのは経験量上どうしても難しいので「リーダーとして~やってました」というのが多くなります。そして面接ではたくさんのリーダーが誕生するわけですね。将来の日本に期待しましょう。
でも、そういうものじゃなくてもうちょっと違うものを具体的なエピソードを交えて話せるとぐっと引きつけられると思うんですよね。「新鮮な野菜かどうかを見分けることができる=ポイントをつかんでよく観察できる」とか、「居酒屋で飲んでいるとおじさんやおばさんと話しておごってもらえる=すぐに人と仲良くなれる」とか。
中途採用の場合、強みは能力やスキルが注目されます。会社にとって足りないところを補えるかどうかだからですね。
よって、自分のキャリアを考える上では、BeだけではなくてCanもバランスよく考えなくてはなりません。
僕の場合は「人前で話せる」「集団の場をコントロールできる」「資料をわかりやすく作れる」などがあると思っています。
③ルフィのDo=伸びる
第1巻の船出のすぐ後のシーンですね。印象的です。ルフィはゴムであることを利用して伸びるという強みを伸ばし、伸びて敵を倒したわけです。
BeやCanと何が違うんや、と。
Beは自然の状態ですね。無理しなくてもそうである。
Canは必要な瞬間に発揮できる力です。それはBeから派生するかもしれないし、まったく関係のない能力を身に付けることもある。
Doは行動や習慣的な動作に注目したものです。
人格はくりかえす行動の総和である。したがって、優秀さはひとつの行動ではなく、習慣である。
―アリストテレス
「反復」こそがその人を表す、ということですね。
たとえば
「返事はすぐ返す」
「本をたくさん読む」
「朝早く起きる」
「ものごとに細かく注目する」
「ものごとを大局的に俯瞰する」
その他にも「困っている人を助ける」「こまめに掃除する」「整理・整頓・清潔にする」「人の話をよく聞く」「空気を読む」「空気をあえて読まない」などもあるでしょう。
要するに、Doは自分が「当たり前にしていること」にヒントがあります。これってなかなか気づきにくい。他人との違いから気づく場合もありますし、教えてもらうといい。企業の強みも、同じ業界でも当たり前にやってることが違ったりします。それが自社の強みですよね。
ルフィは「努力する(修行する)」も強みです。自分がもっと強くなって敵を倒すために、自分の強み=伸びるをどんどん磨いてます。
僕の場合は「勉強する」です。勉強ができるわけじゃないんです。勉強ができる人はもっとたくさんいます。僕はとにかく習慣的に勉強するんです。そして、それを仕事に生かします。
それから「ものごとを分析的を見る」もひとつのクセであり強みです。プライベートでは理屈っぽいって思われるんですけどね。ビジネスでは大事なんです。
あと、掃除します。瞑想もします。
(よく迷走もするけどこれは強みじゃないっぽい)
ということで、Be(~である)、Can(~できる)、Do(~する)の三角形でバランスを考えると自分の強みが見えて来るのではないでしょうか。
参考までにヘタな三角形で書き出してみました。 こんな感じで自由に、あまり気張らず考えてみたらいいです(僕の一人称はここでは僕と言ってますが、普段はオレが多いんです)。
そして、その強みがあったらどういう結果につながるか、もあわせて考えるとよいと思います。就活・転職活動に生かすには、具体的なエピソードや根拠も必要ですね。
2.強みは「弱み」にもなる
ルフィは悪魔の実を食べてゴム人間になりましたが、それと引き換えに海には一生入れない身体になりました。海の成分で作られている海楼石に触れても力が弱まります。
ゴムであることは強みですが、同時に最大の弱みでもあります。
それに、ルフィは腕や足を伸ばした時にその部分が無防備になります。これも弱点なわけで、強みは別な観点から見ると弱みにもなります。
自己分析では、この両者の視点から自分を眺めて、弱みと見られる場合に自分がどうカバーするか、努力しているか考えておくことも必要です。
それと、強みにせよ弱みにせよ表現=伝え方が大事です。言い方ひとつで相手への伝わり方がまるで変わります。
「注意やお叱りを受けたらよくへこみます」
というやや頼りなさそうな人も
「相手の意見を素直に受け止めて、自分の改善や向上につなげます」
と言えばまったく違います(本当にそうしてなきゃダメだけど)。
僕の場合「集中すると仕事が速い」がひとつの強みです。
でも、集中できないときはさっぱりです。はぁーさっぱりさっぱり
なので弱みとしては「気乗りしない仕事は進まない」となります。これはいかんですね。ちなみに昨晩飲み過ぎて今日はあんまり仕事が進みません。
3.まず、強みをとことん伸ばそう
ルフィの強みのひとつは「強くなるために努力する」と書きました。
伸びることを生かしてどんどん強くなります。伸びることを使った技も新しく身に付けます。ゴムの身体だけじゃなく強みもどんどん伸ばしてるわけですね。
一方で、「海に弱い」という弱みをどうこうしようとはしていません。しゃあないやん、って感じで受け入れています。開きなおりです。
その代わり、海に落ちそうなところを伸びてつかまるなど、うまく海から落ちることを避けます。強みが弱みをカバーするパターンですね。
強みを伸ばすときの方が脳はキモチイイ!
ところで、人が前向きで未来志向になっているときと、イヤなことや不満や不安を感じて後ろ向きになっているときでは、脳のはたらく部分が違います。
熱意をもって目標を達成しようとするとき、成功イメージが持てるときは脳のある部分から「快」の信号が発信されてモチベーションの維持につながります。脳が自分を応援してくれるような感じですね。
努力や修行、練習は苦しいことですが、「できるようになる」「達成できる」という思いがあるとつらくても続けられます。しかも、同時に「不快の信号」を出す脳のはたらきを抑えてくれます。
一方で、不満や不安ばかりを見ていると、脳の「不快信号」を出す部分がはたらきます。悲観的な側面ばかり見る人は、脳が不快信号に支配されるのでなかなかモチベーションがあがりませんし、いつも不平不満や愚痴ばかり言います。
これは、その人が悪いのではなくて悲観的になる脳の部分が勝っていてよくないだけです。よく話をして、前向きなイメージが持てるように促すことができれば、脳のはたらきは良い方向へ変わります。
なので、納得できる将来像やビジョンを示してくれる人に影響され、脳のはたらく部分が変わって人は前向きになりモチベーションがあがったりするんですね。さらに、これを理解している人はマイナスからプラスへの感情の切り替えを冷静にやれます。
やはり人は得意なことの方が伸ばしやすいと思います。自分が「これは強みだ」と思っていることは、努力した後の成功イメージが持ちやすいので、それでどんどんがんばれます。できないことも、「やればできる」と思って取り組めるんです。
そして努力を続けていると、だんだん弱みも気にならなくなってきます。ルフィみたいに強みが弱みをカバーしてくれます。
時間を無駄にしないためにも、強みを特定して伸ばしていくことはいいことだと思います。もちろん、悲観的な脳の部分は、危険を避け、リスクを管理する役割もあるので、すべてが悪いことばかりではありません。バランスの問題だと言いたいのです。
4.強みは他の人がいてこそ発揮される
ナミが真の意味で一味に加わる「アーロン編」で、相手のボス・アーロンにルフィが放ったひとこと。
仲間のできること=強み(ウソップはここでは強みになってないけど、ずっと後でこの強みが発揮されますね)を挙げながら、自分の弱さを認めます。
そして、最後に自分ができることは
となるわけです。
ひとりでは何もできないけど、みんなが集まるとなんかできる。
それが組織、チームのいいところです。
これを示したいい言葉もあります。
お互いに助け合わないと生きていけないところに、人間最大の弱みがあり、
その弱みゆえにお互いに助け合うところに、人間最大の強みがあるのである。ー下村湖人(社会教育学者)
成功している人は「運のよさ」「周りのおかげ」と謙虚に語り、失敗する人は「自分のおかげ」とごう慢に語ります。
自分の強みは認識しつつも、周りで一緒にはたらいている人の強みも理解し、認めましょう。
「この人がいるから自分の強みも生かされる」
「自分の強みが他の人にも役に立っているかもしれない」
こんな風に自分と周りが「相互依存」の関係にあることを自覚することが大切です。そういった関係の中で、あらためて自分の強みはなんだろうかと振り返ってみるのもよいです。そうすると、今まで気づかなかった自分の強みが浮かび上がってくるかもしれません。
逆に
「今自分がいる場所では強みが発揮できてないかも…」
「俺ってここにいる意味あるんだろうか…」
と少しでも思ったら、周りとコミュニケーションをとって強みについて確認しあうのも手です。ひょっとしたらほんとうに頼りにされていない自分を見つけてしまうかもしれませんが、その認識から新たに強みを伸ばすスタートが切れると思います。あくまでも前向きに。
5.強みは時と場所によって変わる
ルフィは創造性の発揮と努力によっていろんな技を編み出しています。
そうか、ゴムってこんな感じの使い方もあるのかと思わず感心してしまうほどです。
一度に多数の敵に囲まれた場合に使う技があったり
こんな風に砲弾を受け止める技もできます。
ルフィは自分の強みをその場その場に合ったかたちで発揮してるんですね。
強みはたくさんあっていいと思います。それを、時と場合によって使い分けることが大事です。状況や環境が変わることで自然と出て来る強みもあります。それは弱みも同じですよね。
逆に、時と場合がまずいと、まったく振るわないときだってあるってことなんです。
僕もいつもうまく行ってるわけじゃありません。むしろうまく行かなくてくっそーと思うことばかりです。失敗もたくさんする。
そんなときどう考えるか。
「まだその時じゃなかった(から、次までにしっかりやっていこう)」
「状況が悪いのかもしれない(から、もっと改善して状況をよくする力を身に付けよう)」
大事なのは、自分のぜんぶを否定しないということです。逆に、ぜんぶを他のせいにすることもできません。たまたま時と場合にそぐわずうまく行かなかった。その原因をつかんで、次に生かす。脳を前向きに。
自分の強みを複数把握しておくことは使い分けにつながります。
就活や転職活動のときは相手の会社のことをやっぱりよく調べないといけないんです。
敵を知り、己を知らば、百戦危うからず。
―孫子
どういうことをやっていて、会社の強みが何か、これからどういうことをしていこうとしているのか。そこで自分がはめられる強みってなんだろうか、と。
自己分析×会社分析=マッチング(はまる)
どちらかだけじゃダメなんですね。
ひとつしか強みがない人は、結局それを評価してくれる会社に行き当たるまでやるしかない。しかし、複数使い分けができる人は、相手に合ったものを見せられますよね。
それと、チームで仕事やってるときにうまく行かない人がいたら、時間が経ったらよくなる場合もありますけど、うまくはまってない場合も多いと思います。
そういうときは別のチームに移すか、与える役割を変えるかのどちらかがいります。あるいは、身に付けるべきことを教える。だから人の強みや弱みを把握する力も、マネジメントする側には必要です。
6. 強みの次は「高み」を目指そう
これはルフィの兄ちゃん、エースですね。
ルフィはエースが強いと認めてますし(実際つよい)、大好きです。いつかはエースに勝とうとがんばっている節があります。
自分の強みを考える最後の視点は「モデルをつくる(モデリング)」だと思います。
スキルや能力であれば、自分が伸ばしたいと思っている強みを生かして活躍している人のレベルを基準に考える、ということです。
ある組織の中で発揮できている強みが、他の組織で通用するとは限りません。ぽいっとされちゃう場合も多々あります。
実際にすごい人になる必要はないんですね。けど、すごい人は自分の限界を引きあげてくれます。これがモデリングの一番の効果です。
みんながイチローにはなれないでしょうけど、イチローの水準をイメージすることでまだまだ「高み」があることを知ります。そしてまた高みを目指して努力する。
僕も趣味で楽器やってて、やっぱりいつも自分が好きなプロの音や演奏法を聞いて、「そんな感じ」で毎日練習してました。そうはなれないんですけど、変な自己満足で上達が止まらないのでやっぱり良かったと思ってます。
7.あなたの真の強みは「これしかない」 と思うもの
色々書いてきましたが、ルフィの最大の強みはなんでしょう?
僕はルフィが「海賊王になる」という意志をずっと貫いているところだと思います。
その目標のためだけに、色々な強い敵に挑戦して倒したり、必要な仲間を集めたり、同盟を組んだり。
目標地点が揺らがないので、紆余曲折ありながらも、寄り道しながらも、少しずつ目標に近づいていることがすごいところですよね。でも、ある意味ルフィにとってはそれしかないわけです。世界一自由な男になって、海賊王になる。それだけ。
前の記事にも書きましたが、キャリアの岐路に立つと「これしかない」と思うところまで考えます。考えなくても、それしかないからその強みを基本に歩いて行ってる。
あなたにとって、きっとコアな強みがあると思います。それは、追い詰められたときやここぞというときに発揮されるものだと思います。
これまで、きつかったときや修羅場のときをぜひ思い出してみてください。
以上、強みについて、ワンピースのルフィをヒントに7つにまとめて書いてみました。
みなさんの何かのお役に立てれば幸いです。