20代で知っておきたい仕事・組織のこと

30代経営者@福岡が僕よりも若い人たちに教えたい仕事・組織・キャリアのことを書きます。

仕事ってなんだろう

突然ですが、あなたは仕事をしていますか?

この質問に答えるとしたら
 職業としての仕事「メーカーで営業をやっています」
 業務としての仕事「上司への報告書を今書いてるところで忙しいんすよ」
 個人的にやること「家の片付けやってるよ」

こんなところでしょうか?

ここでいう仕事は「会社や団体に所属して、その組織に貢献するために、なにか成果をあげるために行うこと」とします。フリーランスの方の場合は「お客さまのためにすること」も当てはまりますね。

別に、あなたが今仕事をしてなくたって別にいいんです。仕事をしてる人がえらいわけでもなく、してない人が卑屈になる必要なんてない。

この世に生まれて来たことと、死ぬことだけが全員にとって平等なので、仕事がすべてじゃないんです。

 

仕事をしていなかった時期

僕は今、30代前半です。生まれ故郷の福岡で経営者をやっています。ちなみに僕は高校を卒業して一浪、奨学金をもらって東京の大学に行きました。

エラそうに経営者と言っても、今、社員はいません。売上も小さいものです。フリーランス(個人事業主)と変わらないじゃないかと言われても、仕方ない程度です。

昨年、組織開発・人事コンサルタント会社を立ち上げてもうすぐ一年が経とうとしています。あっという間でした。

そこに至るまで、僕は2回「仕事をしていなかった期間」があります。いわゆる、ニートの期間です。

24歳、大学卒業後に就職したある特殊な仕事を1年弱で辞め、福岡に戻りました。

リーマンショックが起きる前だったので、日本全体がすこし持ち直してきたときでした。人材紹介会社を利用して転職活動に臨んでいたときは、結構前向きな気持ちでやっていました。ただし、僕は民間の業界のことも会社のことも、商売のこともまったく知りませんでした。新卒とほとんど変わりありません。

でも、そのときは「将来は30代で経営者になって自分の会社を持つぞ!」と意気込んでました。就活中のニート24歳が。

 

2度目のニートはつらかった

24歳で運よく民間企業に就職してから4年半、今度は不本意ながら会社を離れました。29歳でした。

身体を壊してしまったので、やむを得なかったんですね。会社にあれ以上迷惑をかけるわけにもいかなかった。

おかげさまで今は元気にやってますが、辞めた当時はつらかった。とても。何も希望もなかったし、しばらくまともに働けそうになかったから。

とりあえず引きこもってみたんですけど、3日で飽きました。何もしない、誰にも会わない生活に耐えられなくなったんです。

それで、何もかも忘れてとりあえず毎日勉強することにしました。法学部卒業だったので、思い出す程度に行政書士試験用の法律を図書館に通って勉強しました。

勉強するといろいろなことを忘れられるし、時間も経ちます。「勉強する」は僕の強みなわけです。

でも、仕事はなんにもしていない。お金ももらえない。

仕事って、なんだろう。

あのとき、給料をもらえていたのは何でだったんだろう。僕は仕事という仕事をしていたんだろうか。

世の中の給料をもらっている人たちは、何を根拠に給料がもらえるんだろうか。その金額は、いったい何を基準に決められるんだろうか。

 

自分の弱みをさらす

会社を辞めてから2ヵ月くらいで、試しに行政書士の試験を受けました。合格発表は数ヵ月後でしたが、1点足りなくて不合格でした。

合格してもしなくても、もうサラリーマンはやめようと思っていました。誰かの下ではたらくのはごめんだな、と。

でも、じゃあどうやって生きていくんだろうか。民間を経験して、少しは会社の仕組みや経営のことはわかったけども、だからといってすぐにひとりで食えるわけじゃない。何か特殊な専門能力があるわけでもない。

ないないづくしだ、どうしよう?

そう、「仕事」を するしかない。可能なら、誰にも依存しない形で。

 僕にできることは何だろうか。

社会とつながるには、どうしたらよいだろうか。それは人の役に立つんだろうか。

そんな自問自答を繰り返しでした。仕事も何もしてないので、考える時間だけはいっぱりあります。

でも、考えてばかりでは何も生み出せないので、2ヵ月程度のリハビリを終えて、人と会って話をすることにしました。

昔のゆるやかなつながりを頼り、思い切って現状を打ち明け、人に頼りました。自分の弱みを打ち明けることは、相当な勇気がいります。まして、「はは、今なにもしてなくてお金稼いでないんですよ」なんて、仕事で忙しくしている人に言うものではありません。

でも、その人のおかげで今につながる一歩が踏み出せた。今でもその人には、感謝しています。

 

自分の腕で稼ぐということ

その後、人のつながりと紹介によって、僕は小さいながらある「仕事」を得ます。

僕の強みは何か。それは、「勉強する」でした。それを具体的に落とし込んで、昔から英語が好きだったし、仕事で海外の経験も積んだし、「ビジネス英語」に絞りました。

ありがたいことにご紹介をいただき、お客様が見つかりました。

社会人の方にビジネス英語を教える。これが独立して最初の仕事でした。

はじめは、お金をもらうことに抵抗がありました。これは人間の不思議な心理です。給料は平気でもらっていたし、お金に困っていたわけではないのに抵抗はなかった。

でも、お金に困っているのに、いざ、自分の腕でお金をもらう段になると何だか申し訳ない気がしました。これは僕が商売人でも何でもなかった証拠です。

そのお客様とは3年以上関係が続いて、今も教えています。その間に、色々とありました。そして、本当に大切なことを学びました。

商売には、きれいも、きたないもない、ということが一番大きかった学びです。

相手が持っていないものを、できないものを、こちらが提供する。その対価として、お金をいただく。どのような仕事でも、そのことに本質的な違いはありません。

その意味で、仕事に貴賤はないというのが僕の持論です。犯罪は、もちろん別ですが。

僕が苦しかったとき、お客様が苦しかったとき、条件を変更したり、交渉があったり。関係が継続すると、色々なことが起きます。

今では、お金をもらうことに抵抗はありません。感謝の気持ちと、どんなことをしようかな、と仕事を向上させる気持ちだけです。良いペースになったと思います。

自分の腕で稼ぐということは、プロになることだと思います。何かに特化できていれば、商売人でなくもかまいません。他の人がその部分をやってくれるかもしれないからです。僕の場合は、自分が何かのプロにならないといけなかったし、商売人でなければならなかった。

どちらも最初からなれるはずもなく、経験と努力、人間的な感情の積み重ねからそうなっていったのだと思います。サラリーマンのときは、そんなことまったく考えもしませんでした。

 

仕事とは

仕事は、お客様あってのものです。お客様が評価します。そして、何らかの対価が発生します。それは、金銭かもしれませんし、異なるものかもしれません。でも、きっと換金できるものであるはずです。

換金可能な対価をもらわないのは、趣味やボランティアです。もしそれを仕事にしようと思ったら、僕が感じたのと同じ抵抗を乗り越える必要があります。それができないなら、仕事にはしないことです。

もちろん、仕事を軌道に乗せるには、対価をあえてもらわないことにする場合もあります。そのときは、自分が「経験を買ってる」と思うことです。自分への投資です。ビジネスでは、実績がなければお客様となる人が評価してくれないこともあります。

将来のために、自己投資として実績狙いの仕事をすることもありえます。でも、それは一時的なものだと自分に絶対に言い聞かせることです。ずるずると続けてはならないし、もしお客様がお金を払う気配がなければ、関係を切りましょう。

商売の根本的な関係を尊重できない人とは、付き合ってはいけません。あるいは、そういった関係は友達とか恋人、家族の関係ならいいのかもしれないですね。

繰り返しになりますが、お客様がいて、お客様が評価して、お客様が対価をくれる。それが仕事です。それは自己満足とはほど遠い世界です。

  • お客様の存在
  • お客様からの評価
  • お客様と自分の間に発生する対価

この三本柱が、仕事のすべてだと思います。

視野や考え方が自分の範囲でとどまってしまうと、成長はありません。

 

お客様と直接の仕事をしない場合は?

人によっては、会社に属していて直接のお客様と接する機会がない、という方もいると思います。

営業や企画の仕事は、お客様と直接のコミュニケーションが取れるため、上に書いた三本柱を感じやすいものです。

内勤が多い事務や総務、経理の仕事はどう考えたらよいのでしょうか。

私がオススメするのは、自分が接する社内の人がお客様だと考えることです。

同じ組織内でも、人と人が介して何らかの仕事をこなしているという場合は、コストが発生しています。これを、取引コストといいます。

営業の人ができない仕事を、事務の人がする。これは、直接には営業の人のためですが、間接的にはお客様のためになります。こういったつながりを理解できると、社内の人が助かるように自分が動くことがとても重要な意味を持つと感じられます。

これがわからずに、いつまでも自分の感情ややり方にこだわっていると、結果的にお客様のためにも、社内の人のためにもなりません。これは、組織にとってまずいことです。

ここでの仕事は「会社や団体に所属して、その組織に貢献するために、なにか成果をあげるために行うこと」と、最初に書きました。

組織内での仕事も、やはり何らかの成果があって、貢献があります。それを意識することです。

 

仕事は、成果を意識しよう

以上、仕事について思っていることを書いてみました。

最後に、仕事を積み上げてキャリアを形成していく上で大切なことは「成果」であると言っておきます。

成果は、その人にとっての「実績」になります。実績がない人は、いつまでも評価されません。新しく仕事ももらえません。

とにかく、ビジネスにおいては実績がすべてです。転職をするにも、その人の人となりと同じか、それ以上に実績が評価されます。ここでも、評価は自分ではなくて相手なんですね。

ただ、成果や実績といっても、すごいことだと思い込む必要はありません。それに「自分は何もしてないから・・・」などと謙遜したり卑屈にもなるのはやめてください。

何もしてないんなら、なんで給料がもらえるんですか?

もし本気でなにもしてないし、成果も貢献もないと思うなら、給料を返すか、会社を辞めてください。

でも、ほとんどの人にとって、そんなことはないんです。存在そのものが貢献につながっている人もいますし、もしものときに力を発揮する人も、やはり意味があります。

 

雑ですが、僕が言いたいことを書き出すと

  • 自分の強みと弱みをつかもう
  • 時には、弱みをさらすことも悪くない
  • 仕事にきれいも、汚いも、ない(犯罪はダメ)
  • 仕事に貴賤はない
  • 商売は商売、お金をもらうことは悪いことではない
  • 実績づくりのために、自己投資で一時的に対価をもらわないこともありえる
  • 仕事は、お客様あってのもの。趣味やボランティアとは違う
  • お客様からの評価がすべて。自己満足では長続きしない
  • 対価を正当に払おうとしないお客様とは商売で付き合ってはいけない
  • 商売のプロになれないなら、何かの仕事のプロになろう
  • プロになれたら、商売は誰かに任せてもよい
  • ビジネスは、「実績」がすべて。成果について考えよう

以上、何かのお役に立てれば幸いです。